~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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「クリスマスプレゼント、何がいい?」
そう問うのは、この家の毎年の風景だ。
小さい頃こそ相手に内緒でいろいろ準備したりもしたが、数年前からは隠すことをやめた。
狭い家だ。
隠していてもどうせばれてしまう。
下手に隠そうとしてぎくしゃくするよりも、いっそのこと開けっぴろげにしてしまった方がお互いに楽だった。
考えるのが面倒くさいというわけではない。
聞くのはあくまでも参考。
実際何を贈るのかは自分に委ねられる。
同様に、希望の物が相手のセンスに側したものでないと流石に贈って貰えない。
「・・・・・・ん~、そだなぁ」
リビングで本を読んでいた義妹・イーピンが顔を上げた。
図書館で借りていた本だ。
冬休みに入ってそうそうに読み始めているらしく、続き物の上巻の半分くらいまで進んでいた。
「今年は何がいいかな」
本を膝の上に開いたまま、顎の下に手を当てて首をひねってみせた。
こんな仕草をするのも毎年のことだ。
「ヒバリさんは?何か欲しいものあります?」
「ピンからのキス」
きっぱり、はっきり。
これ以上ないと言うほど端的に答えた。
「・・・・・・」
「ピンからのキス」
「・・・・・・二回言わなくても聞こえています」
「反応がなかったから聞こえていないのかと思ったよ」
「呆れて言葉が出なかっただけです!」
膝の上にあった本を勢いよく閉じて投げつけてきた。
かなりの勢いがあったが、それほど危なげもなく受け止めると、至極嫌な顔をされた。
「学校の物品を手荒に扱うなんて生徒会長の風上にもおけないね」
「うるさい!!ヒバリさんが変なこと言うからです!!」
「キスして欲しいって言っただけじゃない」
「それが変だって言ってるんです!」
「何で?」
「だ・・・って、私たち・・・・・・兄妹じゃないですか・・・・・・」
「でも血は繋がってない」
「そう、ですけど・・・・・・」
僕たちは孤児だった。
それを拾われた。
養子として拳法家・風に引き取られた。
僕たち親子は誰とも血の繋がりのない家族だった。
だからだろうか?
家族に対する執着は同年代の者とは比較にならないほど強い。
職業柄あちこちの道場への出稽古のため家を空けることの多い風よりも、義妹のイーピンに対する想いは並々ならぬものがあった。
それが家族の域を越えるのは時間の問題だった。
「不徳だとでも思ってる?」
「当たり前です!」
イーピンはその一線を越えることを頑なに拒む。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけれど、こうもきっぱり拒否されると心が痛い。
「じゃぁ、キスはあきらめる」
僕からすればいいだけの話だし。
心の中で唱えて話を転換させた。
「その代わり、『おにいちゃん』て呼んでよ。今年はそれでいい」
「・・・・・・それも嫌・・・・・・」
「わがまま」
「だって!・・・・・・恥ずかしいもん・・・・・・」
それに・・・・・・、と小さな声が続いた。
「義兄さんは義兄さんだけど、それだけじゃないもん・・・・・・。特別だから、それは嫌なの・・・・・・」
「・・・・・・」
まぁ、つまり、なんだ。
結局のところお互い想っていることは同じということか。
ちょっと前までならこんな風に言葉にしてくれなかった。
そういう意味では多少なりとも前進しつつある自分たちの関係に今は満足しておこう。
「・・・・・・何か別のを考えておくよ」
「うん。私も考えとく」
「さて、クリスマス料理でも作ろうかな」
「私お肉食べたい!」
「鶏?七面鳥?ミートローフ?」
「とりもも!」
「はいはい」
街が聖夜だなんだと騒ぎ立てる中。
色気よりも食い気が先に立ってしまう不詳の義妹のために、今日もエプロンを手に取る僕だった。
そう問うのは、この家の毎年の風景だ。
小さい頃こそ相手に内緒でいろいろ準備したりもしたが、数年前からは隠すことをやめた。
狭い家だ。
隠していてもどうせばれてしまう。
下手に隠そうとしてぎくしゃくするよりも、いっそのこと開けっぴろげにしてしまった方がお互いに楽だった。
考えるのが面倒くさいというわけではない。
聞くのはあくまでも参考。
実際何を贈るのかは自分に委ねられる。
同様に、希望の物が相手のセンスに側したものでないと流石に贈って貰えない。
「・・・・・・ん~、そだなぁ」
リビングで本を読んでいた義妹・イーピンが顔を上げた。
図書館で借りていた本だ。
冬休みに入ってそうそうに読み始めているらしく、続き物の上巻の半分くらいまで進んでいた。
「今年は何がいいかな」
本を膝の上に開いたまま、顎の下に手を当てて首をひねってみせた。
こんな仕草をするのも毎年のことだ。
「ヒバリさんは?何か欲しいものあります?」
「ピンからのキス」
きっぱり、はっきり。
これ以上ないと言うほど端的に答えた。
「・・・・・・」
「ピンからのキス」
「・・・・・・二回言わなくても聞こえています」
「反応がなかったから聞こえていないのかと思ったよ」
「呆れて言葉が出なかっただけです!」
膝の上にあった本を勢いよく閉じて投げつけてきた。
かなりの勢いがあったが、それほど危なげもなく受け止めると、至極嫌な顔をされた。
「学校の物品を手荒に扱うなんて生徒会長の風上にもおけないね」
「うるさい!!ヒバリさんが変なこと言うからです!!」
「キスして欲しいって言っただけじゃない」
「それが変だって言ってるんです!」
「何で?」
「だ・・・って、私たち・・・・・・兄妹じゃないですか・・・・・・」
「でも血は繋がってない」
「そう、ですけど・・・・・・」
僕たちは孤児だった。
それを拾われた。
養子として拳法家・風に引き取られた。
僕たち親子は誰とも血の繋がりのない家族だった。
だからだろうか?
家族に対する執着は同年代の者とは比較にならないほど強い。
職業柄あちこちの道場への出稽古のため家を空けることの多い風よりも、義妹のイーピンに対する想いは並々ならぬものがあった。
それが家族の域を越えるのは時間の問題だった。
「不徳だとでも思ってる?」
「当たり前です!」
イーピンはその一線を越えることを頑なに拒む。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけれど、こうもきっぱり拒否されると心が痛い。
「じゃぁ、キスはあきらめる」
僕からすればいいだけの話だし。
心の中で唱えて話を転換させた。
「その代わり、『おにいちゃん』て呼んでよ。今年はそれでいい」
「・・・・・・それも嫌・・・・・・」
「わがまま」
「だって!・・・・・・恥ずかしいもん・・・・・・」
それに・・・・・・、と小さな声が続いた。
「義兄さんは義兄さんだけど、それだけじゃないもん・・・・・・。特別だから、それは嫌なの・・・・・・」
「・・・・・・」
まぁ、つまり、なんだ。
結局のところお互い想っていることは同じということか。
ちょっと前までならこんな風に言葉にしてくれなかった。
そういう意味では多少なりとも前進しつつある自分たちの関係に今は満足しておこう。
「・・・・・・何か別のを考えておくよ」
「うん。私も考えとく」
「さて、クリスマス料理でも作ろうかな」
「私お肉食べたい!」
「鶏?七面鳥?ミートローフ?」
「とりもも!」
「はいはい」
街が聖夜だなんだと騒ぎ立てる中。
色気よりも食い気が先に立ってしまう不詳の義妹のために、今日もエプロンを手に取る僕だった。
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