~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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僕が“死の手のポーズ”の意味を知ったのは力量の試練を受ける直前のことだった。
水の迷路の試練場に向かう道すがら、バネズが教えてくれた。
それは応援のポーズであると。
それは高潔なバンパイアたれという戒めのポーズなのだと。
「勇敢に誇りをもって死ねば、バンパイア一族全体が神々の恩恵を受けられると俺たちは信じているんだ」
「ふぅん・・・・わかったような・・・・わかんないような・・・・」
「今はわからなくってもいいさ。だが、高潔なバンパイアはたとえ死を前にしても、己よりも一族のためを思う。それを忘れるなってことだ」
「己よりも・・・・一族を・・・・・」
それを思うと、やっぱり今の僕って高潔なバンパイアとは言えないのかもしれないな。
だって僕が試練を受けているのはあくまでも僕自身に力があることを示したいってだけだもん。
正直一族がどう、とかは考えられない。
それに何より神々の恩恵とか言われてもいまいちピンとこないな。
人間だった頃に時々ママに連れられて日曜礼拝に行ったりもしたけれど神様なんて漠然とした存在としてしかわからない。
第一本当に神様なんてものがいるなら、僕はこんなところで試練なんて受けていないだろうし、半バンパイアにもなっていないはずだ。
・・・・もっとも、バンパイアの信じる神様と、人間の信じる神様が同じものである保証なんてどこにもないけれど。
□■□
辛くも第一・第二の試練をクリアした僕だったけれど、第三の試練『炎の試練』は今まで以上にクリアが難しいものであると練習の段階からわかっていた。
ついうっかり弱気の虫が顔を出しそうになる。
バネズやエラに叱咤されながら、僕は生きるためにこの試練をやり遂げなくてはならなかった。
とうとう本番の時間になった時、僕はすっかり火傷まみれになっていた。
それでもエラに言わせれば「こんなものは序の口」らしい。
そんなことを言われれば、何とか強がって見せていた僕でも不安の色を隠せない。
死ぬつもりなんてこれっぽっちもないけれど試練の間に入る直前、僕はあんたに失敗した時のことを口走ってしまった。
もちろんあんたはそれに怒った。
「そんな口をきくでない!望みを持て!」
「もちろん望みは捨てない」
でも・・・・・・
万が一。
億が一。
失敗しないとは言い切れないから。
「僕が死んだら、死体を僕の故郷の・・・・・うちの墓に埋めて欲しいんだ」
あんたは、わかったとも、約束しようとも言わなかった。
ただ黙って僕の言葉を噛み締めているようだった。
しばらくして、といっても数秒のことだったけれど、目を伏せて僕に手を差し出す。
「うむ・・・・バンパイアの神々の幸多からんことを」
死の手のポーズで送らなかったのは、クレプスリーなりのメッセージのように思えた。
決して死んではならぬ。
暗にそう訴えていたのかもしれない。
だから、僕はその手を取らなかった。
「クレプスリーの弟子になれたこと、誇りに思うよ・・・・・」
代わりに、あんたの腰にぎゅっと抱きついた。
バンパイアの神々なんて、いらないよ。
僕には、あんたがついていればそれでいい。
何十人が声を張り上げて応援する声よりも、あんたがただ一言「いってこい」と言ってくれる方が万倍心強い。
酒樽を掲げて僕を褒め称えてくれるより、あんたがただ一言「よくやった」といってくれる方が億倍嬉しい。
そう口外に訴え返すように。
あぁ、そうか。
神様って、きっとあんたのことなんだ。
それなら信じられる。
死ぬ最後の間際に、僕のことよりもあんたのことを思うことならきっとできるよ。
あんたという神様がいるから、僕は僕とあんたのために試練を受けているし、あんたの為に半バンパイアになったんだ。
皆が信じる神様とは違うかもしれないけれど、僕の神様は、ここにいる。
だからきっと僕は大丈夫。
僕だけの神様は、きっと僕の味方をしてくれるから。
ゴッズ オブ バンパイアズ!
(10人の神様よりもたった一人のあんたがいい)
水の迷路の試練場に向かう道すがら、バネズが教えてくれた。
それは応援のポーズであると。
それは高潔なバンパイアたれという戒めのポーズなのだと。
「勇敢に誇りをもって死ねば、バンパイア一族全体が神々の恩恵を受けられると俺たちは信じているんだ」
「ふぅん・・・・わかったような・・・・わかんないような・・・・」
「今はわからなくってもいいさ。だが、高潔なバンパイアはたとえ死を前にしても、己よりも一族のためを思う。それを忘れるなってことだ」
「己よりも・・・・一族を・・・・・」
それを思うと、やっぱり今の僕って高潔なバンパイアとは言えないのかもしれないな。
だって僕が試練を受けているのはあくまでも僕自身に力があることを示したいってだけだもん。
正直一族がどう、とかは考えられない。
それに何より神々の恩恵とか言われてもいまいちピンとこないな。
人間だった頃に時々ママに連れられて日曜礼拝に行ったりもしたけれど神様なんて漠然とした存在としてしかわからない。
第一本当に神様なんてものがいるなら、僕はこんなところで試練なんて受けていないだろうし、半バンパイアにもなっていないはずだ。
・・・・もっとも、バンパイアの信じる神様と、人間の信じる神様が同じものである保証なんてどこにもないけれど。
□■□
辛くも第一・第二の試練をクリアした僕だったけれど、第三の試練『炎の試練』は今まで以上にクリアが難しいものであると練習の段階からわかっていた。
ついうっかり弱気の虫が顔を出しそうになる。
バネズやエラに叱咤されながら、僕は生きるためにこの試練をやり遂げなくてはならなかった。
とうとう本番の時間になった時、僕はすっかり火傷まみれになっていた。
それでもエラに言わせれば「こんなものは序の口」らしい。
そんなことを言われれば、何とか強がって見せていた僕でも不安の色を隠せない。
死ぬつもりなんてこれっぽっちもないけれど試練の間に入る直前、僕はあんたに失敗した時のことを口走ってしまった。
もちろんあんたはそれに怒った。
「そんな口をきくでない!望みを持て!」
「もちろん望みは捨てない」
でも・・・・・・
万が一。
億が一。
失敗しないとは言い切れないから。
「僕が死んだら、死体を僕の故郷の・・・・・うちの墓に埋めて欲しいんだ」
あんたは、わかったとも、約束しようとも言わなかった。
ただ黙って僕の言葉を噛み締めているようだった。
しばらくして、といっても数秒のことだったけれど、目を伏せて僕に手を差し出す。
「うむ・・・・バンパイアの神々の幸多からんことを」
死の手のポーズで送らなかったのは、クレプスリーなりのメッセージのように思えた。
決して死んではならぬ。
暗にそう訴えていたのかもしれない。
だから、僕はその手を取らなかった。
「クレプスリーの弟子になれたこと、誇りに思うよ・・・・・」
代わりに、あんたの腰にぎゅっと抱きついた。
バンパイアの神々なんて、いらないよ。
僕には、あんたがついていればそれでいい。
何十人が声を張り上げて応援する声よりも、あんたがただ一言「いってこい」と言ってくれる方が万倍心強い。
酒樽を掲げて僕を褒め称えてくれるより、あんたがただ一言「よくやった」といってくれる方が億倍嬉しい。
そう口外に訴え返すように。
あぁ、そうか。
神様って、きっとあんたのことなんだ。
それなら信じられる。
死ぬ最後の間際に、僕のことよりもあんたのことを思うことならきっとできるよ。
あんたという神様がいるから、僕は僕とあんたのために試練を受けているし、あんたの為に半バンパイアになったんだ。
皆が信じる神様とは違うかもしれないけれど、僕の神様は、ここにいる。
だからきっと僕は大丈夫。
僕だけの神様は、きっと僕の味方をしてくれるから。
ゴッズ オブ バンパイアズ!
(10人の神様よりもたった一人のあんたがいい)
5巻の試練中のお話。
腰に抱きついたシーンは赤師弟好きにはたまらんかった。
鼻血吹くかと思った。
萌死ぬ。
2010/08/30
腰に抱きついたシーンは赤師弟好きにはたまらんかった。
鼻血吹くかと思った。
萌死ぬ。
2010/08/30
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