~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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花束
窓辺に立って深い溜め息を吐いた。
今日も長い一日がようやく終わった。
朝から入れ替わり立ち代わり一体何人の人と面会しただろうか。
正確には、何人の男性と面会させられたのだろうか。
つまりそれは、いわゆるお見合いというやつで。
確かに、私もそろそろお年頃という年齢ではある。
ただしそれは恋愛のお年頃であって、結婚のお年頃ではない。
そりゃぁ私だって結婚に憧れはある。
でもそれは恋愛を経てゴールインしたいとか思うわけで。
極論から言えば、お見合いなんてこれっぽっちも望んでなんかはいないのだ。
「でも断るのもなぁ・・・・・・・」
もう一度溜め息が漏れ出た。
お見合いの席を用意したのは私の兄代わりの綱吉さん。
幼い頃から居候させてもらっている家の現当主。
街ではちょっと名の知れた家柄で、でもそんなことを鼻に掛けたところなんてまったくない、すごく優しい人。
だからわかっている。
これは本当に私のことを考えて用意してくれた席なんだって。
だって紹介された人の中には一人だって悪そうな人はいなかった。
それどころか、私自身は覚えていないのだけれど、昔まだ私が幼い頃に何度か面識があるらしく、その頃から私のことを知っているらしい。
言い換えれば当家の相続目的に名乗りを上げたような薄っぺらい人間ではないということ。
もっとも、殊人を見る目が確かな綱吉さんがそのような腹に一物もニ物も抱えた人間を紹介するはずがないのだけれど。
「でもだからって、私は相手のこと何にも知らないし」
そんな人を一体どうやって好きになれというのか。
好きになれるかもわからない人と添い遂げるなんて、私には出来ない。
「やっぱり・・・・ちゃんと言わないと失礼だよね・・・・綱吉さんにも、相手の人にも・・・・」
結婚なんてする気はない、と。
だからこれ以上お見合いなんてしたくない、と。
既に私の心の中には一人の人間がいるのだ、と。
どこの誰かもわからないけれど。
あの日、あの時出逢ったあの人に。
私に心は盗まれたままなのだと。
たった一厘の花を手に、今日のように窓際にたたずむ私にあの人は言った。
『次は、両手いっぱいの花束を持って君を攫いに来るよ』
月に照らされた漆黒の髪が、きらきらと。
初めてしった恋心のごとく、きらきらと。
眩く私の胸の中を照らした。
あれからどれだけの夜を過ごしたか。
あの日の花は、とうの昔に枯れ果ててしまった。
一体、いつになったら貴方に逢えるの?
一体、いつになったら
「私を攫いに来てくれるの・・・・・・・?」
花束なんていらないから、早く、早く。
またたった一厘を持って、早く私を攫いに来て。
―――トントン
控えめな音で戸が叩かれた。
「はい」
「イーピン、入るよ」
静かに引かれた戸の向こうに、綱吉さん。
「な、イーピン。明日もう一度お見合いしてくれないか?」
「・・・・あの・・・・・私、お見合いは・・・・・・」
「どうしても、イーピンに逢いたいって人がいてさ」
「でも、私まだそんなつもりないし・・・・・」
「その人がさ、これを渡したらきっと逢いたくなるからって」
差し出された、一厘。
それはあの日のものと変わらなくて。
ただ、一つだけ違っていたのは結われた文の存在。
どくどくと脈打つ心臓にせかされながら、丁寧にソレを開く。
そこにしたためられた流れるような美しい文字は
『攫いに来たよ』
とだけ、綴っていた。
窓辺に立って深い溜め息を吐いた。
今日も長い一日がようやく終わった。
朝から入れ替わり立ち代わり一体何人の人と面会しただろうか。
正確には、何人の男性と面会させられたのだろうか。
つまりそれは、いわゆるお見合いというやつで。
確かに、私もそろそろお年頃という年齢ではある。
ただしそれは恋愛のお年頃であって、結婚のお年頃ではない。
そりゃぁ私だって結婚に憧れはある。
でもそれは恋愛を経てゴールインしたいとか思うわけで。
極論から言えば、お見合いなんてこれっぽっちも望んでなんかはいないのだ。
「でも断るのもなぁ・・・・・・・」
もう一度溜め息が漏れ出た。
お見合いの席を用意したのは私の兄代わりの綱吉さん。
幼い頃から居候させてもらっている家の現当主。
街ではちょっと名の知れた家柄で、でもそんなことを鼻に掛けたところなんてまったくない、すごく優しい人。
だからわかっている。
これは本当に私のことを考えて用意してくれた席なんだって。
だって紹介された人の中には一人だって悪そうな人はいなかった。
それどころか、私自身は覚えていないのだけれど、昔まだ私が幼い頃に何度か面識があるらしく、その頃から私のことを知っているらしい。
言い換えれば当家の相続目的に名乗りを上げたような薄っぺらい人間ではないということ。
もっとも、殊人を見る目が確かな綱吉さんがそのような腹に一物もニ物も抱えた人間を紹介するはずがないのだけれど。
「でもだからって、私は相手のこと何にも知らないし」
そんな人を一体どうやって好きになれというのか。
好きになれるかもわからない人と添い遂げるなんて、私には出来ない。
「やっぱり・・・・ちゃんと言わないと失礼だよね・・・・綱吉さんにも、相手の人にも・・・・」
結婚なんてする気はない、と。
だからこれ以上お見合いなんてしたくない、と。
既に私の心の中には一人の人間がいるのだ、と。
どこの誰かもわからないけれど。
あの日、あの時出逢ったあの人に。
私に心は盗まれたままなのだと。
たった一厘の花を手に、今日のように窓際にたたずむ私にあの人は言った。
『次は、両手いっぱいの花束を持って君を攫いに来るよ』
月に照らされた漆黒の髪が、きらきらと。
初めてしった恋心のごとく、きらきらと。
眩く私の胸の中を照らした。
あれからどれだけの夜を過ごしたか。
あの日の花は、とうの昔に枯れ果ててしまった。
一体、いつになったら貴方に逢えるの?
一体、いつになったら
「私を攫いに来てくれるの・・・・・・・?」
花束なんていらないから、早く、早く。
またたった一厘を持って、早く私を攫いに来て。
―――トントン
控えめな音で戸が叩かれた。
「はい」
「イーピン、入るよ」
静かに引かれた戸の向こうに、綱吉さん。
「な、イーピン。明日もう一度お見合いしてくれないか?」
「・・・・あの・・・・・私、お見合いは・・・・・・」
「どうしても、イーピンに逢いたいって人がいてさ」
「でも、私まだそんなつもりないし・・・・・」
「その人がさ、これを渡したらきっと逢いたくなるからって」
差し出された、一厘。
それはあの日のものと変わらなくて。
ただ、一つだけ違っていたのは結われた文の存在。
どくどくと脈打つ心臓にせかされながら、丁寧にソレを開く。
そこにしたためられた流れるような美しい文字は
『攫いに来たよ』
とだけ、綴っていた。
雰囲気の何かパロ。
細かいことは何も考えずに書いた。
明治くらいの時代設定かな?
ヒバリさんに家柄とかの垣根を越えて攫ってもらいたかっただけ。
細かいことは何も考えずに書いた。
明治くらいの時代設定かな?
ヒバリさんに家柄とかの垣根を越えて攫ってもらいたかっただけ。
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