~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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期待はしていない。
きっとあの人はそういうことにはこだわらない人だから。
日にちとしては覚えていてくれていると思っている。
以前に「こんなにもわかりやすい日を忘れるものか」と言ったのは何を隠そう彼自身だ。
だから知ってはいるのだ。
7月7日が私、棚旗奈々の誕生日であることは。
ただ問題なのは、彼が今日と言う日付に気づいているかどうか。
一度調べ物に没頭してしまえば寸暇を惜しんで蔵書を読み漁る。
かろうじて合間を縫って仕事には行くのだろうけれど(そうでなくては困る)、それ以外は全てがおざなりになっている様を私は何度も目撃している。
電話をどれだけ鳴らしたところで、あちらは完全に無視を決め込んでしまうから連絡も取れない。
携帯電話の方に掛けてもいいのだが、それではまるで催促しているみたいで気が引けた。
別段用件があるわけでもないから余計だ。
私たちの関係は、多分友人以上恋人未満、というもの。
いや、用件もなく連絡を取ることが憚られるのであれば、それは友人未満と言った方が正しいのかもしれない。
つまりはその程度の関係でしかない。
「まっったく!タタルさんたらなんて薄情なの!?」
胸中でこっそりとあきらめの結論を搾り出すと、代わりに妹の沙織が激昂していた。
「お姉ちゃんなんて毎年毎年タタルさんの誕生日にはプレゼント付きで連絡入れているのに、電話の一本も無いとはどういう了見よ!?」
「沙織。タタルさんだって何か用事があるのかもしれないし・・・・・・・」
「絶対無い!」
きっぱりはっきり断言した。
「あったとしても、お姉ちゃんの誕生日よりも優先順位が高いはずが無い!」
「そんな・・・・・」
手前勝手すぎる言い分だ。
タタルさんにとって私はそんなに優先順位の高い人間ではないことくらい自覚している。
私の誕生日なんかよりも、タタルさんの食指をそそる歴史の謎は五万とある。
だからきっと連絡がないだろうことは容易に想像がついた。
だから期待はしない。
次に逢った時にでも「遅れてすまないが・・・・・」なんて言いながらカル・デ・サックで奢ると言ってくれるのだろう。
もっとも、その『次の機会』というものが数日先なのか数ヶ月先なのかは誰にもわからないが。
「こうやって沙織が腕を揮ってくれたのよ?それで十分よ」
「お姉ちゃんは欲が無さすぎ!」
「・・・・そうかしら・・・・?」
「だって!・・・・・・誕生日にこんなこと言うのもなんだけど、お姉ちゃんだってもう結婚しててもいい年なんだよ?それを妹と二人で慎まし家でく誕生日を過ごしていることに危機感を覚えるべきだよ!」
「それは・・・・・・」
「タタルさんに積極性を求めるなんて馬鹿げているってわかっているんだから、お姉ちゃんからガンガン攻めていかないと行き遅れちゃうよ!」
「そこまで言わなくても・・・・・・」
タタルさんに失礼じゃない、と続けようとしたがまったくもって正論だったため言い返すことも出来ない。
「大体っ!」
―――タ~タタタン タタタタッタ・・・・・・
控えめな着信メロディとともに携帯電話の背面ディスプレイが光った。
「タタルさん!?」
まるで自分に掛かってきたかのように、沙織はディスプレイに表示された名前に目を走らせた。
なんとなく気恥ずかしくて携帯電話を手に席を立つ。
すぐには鳴り止まない電子音がメール着信ではないことを知らせている。
隣の部屋にあわてて移り、ようやく発信相手を確認。
『桑原 崇』
ドキリと少しだけ胸が跳ねたのを自覚する。
恐る恐る通話ボタンを押し、耳に押し当てると聞きなれた声が届いた。
『よう』
自分から掛けて着たのに、相変わらずそっけない挨拶だ。
「こんばんは、タタルさん。どうしたんですか?」
『どうしたも何も、誕生日だろう?君の』
覚えていた!
知っていた!
気づいていた!
期待しない、だなんて言い聞かせていたくせに胸の中でははっきりと高鳴りを見せる。
「覚えていらしたんですか?」
『覚えるも何も、こんなわかりやすい日を忘れる方が難しいだろう』
「そうでしたね」
『もっとも、今日が7月7日だと気がついたのは今さっきだったのだが』
やっぱり、と心の中で笑う。
『何とか間に合ってよかった』
「そんな、気にしなくても良かったのに。そろそろ誕生日を喜ぶ年齢でもないですし」
『そういうわけにも行かない。なんせこういうことを忘れると後でねちねちと五月蝿いやつらが多いしな』
「ふふふ」
実にタタルさんらしい反応だ。
『それにこんな機会を逃すのはもったいないからな」
「なんのことですか・・・・?」
『こちらのことだ。気にしないでくれ』
「はぁ・・・・・?」
『それよりも、今から出てこれるか?最近見つけた良いバーがあるんだ』
「あ・・・・・・実は沙織がもう「こんなこともあろうかと料理は全部時間がたっても大丈夫なものを作ったのでどうぞどうぞお二人さんで出かけちゃってくださーい!」
明らかにドアの外で立ち聞きをしていたとわかるタイミングで沙織が声を上げた。
怒るよりもその用意の周到さに溜め息が出てしまう。
『沙織君がどうかしたのか?』
「・・・・いえ、是非とも行ってこいって」
『そうか。ではタクシーで拾うから少し待っててくれ。30分ほどで君のマンションに着く」
「わかりました。それではまた」
『あぁ!そうだ奈々君』
「はい?」
『誕生日おめでとう。危うく言いそびれるところだった』
きっとあの人はそういうことにはこだわらない人だから。
日にちとしては覚えていてくれていると思っている。
以前に「こんなにもわかりやすい日を忘れるものか」と言ったのは何を隠そう彼自身だ。
だから知ってはいるのだ。
7月7日が私、棚旗奈々の誕生日であることは。
ただ問題なのは、彼が今日と言う日付に気づいているかどうか。
一度調べ物に没頭してしまえば寸暇を惜しんで蔵書を読み漁る。
かろうじて合間を縫って仕事には行くのだろうけれど(そうでなくては困る)、それ以外は全てがおざなりになっている様を私は何度も目撃している。
電話をどれだけ鳴らしたところで、あちらは完全に無視を決め込んでしまうから連絡も取れない。
携帯電話の方に掛けてもいいのだが、それではまるで催促しているみたいで気が引けた。
別段用件があるわけでもないから余計だ。
私たちの関係は、多分友人以上恋人未満、というもの。
いや、用件もなく連絡を取ることが憚られるのであれば、それは友人未満と言った方が正しいのかもしれない。
つまりはその程度の関係でしかない。
「まっったく!タタルさんたらなんて薄情なの!?」
胸中でこっそりとあきらめの結論を搾り出すと、代わりに妹の沙織が激昂していた。
「お姉ちゃんなんて毎年毎年タタルさんの誕生日にはプレゼント付きで連絡入れているのに、電話の一本も無いとはどういう了見よ!?」
「沙織。タタルさんだって何か用事があるのかもしれないし・・・・・・・」
「絶対無い!」
きっぱりはっきり断言した。
「あったとしても、お姉ちゃんの誕生日よりも優先順位が高いはずが無い!」
「そんな・・・・・」
手前勝手すぎる言い分だ。
タタルさんにとって私はそんなに優先順位の高い人間ではないことくらい自覚している。
私の誕生日なんかよりも、タタルさんの食指をそそる歴史の謎は五万とある。
だからきっと連絡がないだろうことは容易に想像がついた。
だから期待はしない。
次に逢った時にでも「遅れてすまないが・・・・・」なんて言いながらカル・デ・サックで奢ると言ってくれるのだろう。
もっとも、その『次の機会』というものが数日先なのか数ヶ月先なのかは誰にもわからないが。
「こうやって沙織が腕を揮ってくれたのよ?それで十分よ」
「お姉ちゃんは欲が無さすぎ!」
「・・・・そうかしら・・・・?」
「だって!・・・・・・誕生日にこんなこと言うのもなんだけど、お姉ちゃんだってもう結婚しててもいい年なんだよ?それを妹と二人で慎まし家でく誕生日を過ごしていることに危機感を覚えるべきだよ!」
「それは・・・・・・」
「タタルさんに積極性を求めるなんて馬鹿げているってわかっているんだから、お姉ちゃんからガンガン攻めていかないと行き遅れちゃうよ!」
「そこまで言わなくても・・・・・・」
タタルさんに失礼じゃない、と続けようとしたがまったくもって正論だったため言い返すことも出来ない。
「大体っ!」
―――タ~タタタン タタタタッタ・・・・・・
控えめな着信メロディとともに携帯電話の背面ディスプレイが光った。
「タタルさん!?」
まるで自分に掛かってきたかのように、沙織はディスプレイに表示された名前に目を走らせた。
なんとなく気恥ずかしくて携帯電話を手に席を立つ。
すぐには鳴り止まない電子音がメール着信ではないことを知らせている。
隣の部屋にあわてて移り、ようやく発信相手を確認。
『桑原 崇』
ドキリと少しだけ胸が跳ねたのを自覚する。
恐る恐る通話ボタンを押し、耳に押し当てると聞きなれた声が届いた。
『よう』
自分から掛けて着たのに、相変わらずそっけない挨拶だ。
「こんばんは、タタルさん。どうしたんですか?」
『どうしたも何も、誕生日だろう?君の』
覚えていた!
知っていた!
気づいていた!
期待しない、だなんて言い聞かせていたくせに胸の中でははっきりと高鳴りを見せる。
「覚えていらしたんですか?」
『覚えるも何も、こんなわかりやすい日を忘れる方が難しいだろう』
「そうでしたね」
『もっとも、今日が7月7日だと気がついたのは今さっきだったのだが』
やっぱり、と心の中で笑う。
『何とか間に合ってよかった』
「そんな、気にしなくても良かったのに。そろそろ誕生日を喜ぶ年齢でもないですし」
『そういうわけにも行かない。なんせこういうことを忘れると後でねちねちと五月蝿いやつらが多いしな』
「ふふふ」
実にタタルさんらしい反応だ。
『それにこんな機会を逃すのはもったいないからな」
「なんのことですか・・・・?」
『こちらのことだ。気にしないでくれ』
「はぁ・・・・・?」
『それよりも、今から出てこれるか?最近見つけた良いバーがあるんだ』
「あ・・・・・・実は沙織がもう「こんなこともあろうかと料理は全部時間がたっても大丈夫なものを作ったのでどうぞどうぞお二人さんで出かけちゃってくださーい!」
明らかにドアの外で立ち聞きをしていたとわかるタイミングで沙織が声を上げた。
怒るよりもその用意の周到さに溜め息が出てしまう。
『沙織君がどうかしたのか?』
「・・・・いえ、是非とも行ってこいって」
『そうか。ではタクシーで拾うから少し待っててくれ。30分ほどで君のマンションに着く」
「わかりました。それではまた」
『あぁ!そうだ奈々君』
「はい?」
『誕生日おめでとう。危うく言いそびれるところだった』
相も変わらない、そっけない言葉。
それでも。
どうしてだろう。
誰に言われるよりも胸に響いた。
7月7日の逢瀬
奈々ちゃんおたおめ!
今年こそタタルさんと進展がありますように!!
高田先生どうかよろしくお願いします!!!!!!
今年こそタタルさんと進展がありますように!!
高田先生どうかよろしくお願いします!!!!!!
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