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~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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残り香


ふとした折。
鼻先を掠めていく香りがあった。
それはどこか懐かしくて。
同時に胸を締め付けられる、香り。
知っているようで、どうしても私はその香りの記憶を探り当てることが出来なかった。

「どうかしましたか?」
「・・・・師匠・・・」

こうして私が何かを思いだそうとするたびに、師匠は心配そうに私の顔を覗き込む。
自分では気がつけないけれど、そんなに難しい顔をしているのかしら?

「なんでもないですよ」
「そうですか?思いつめたような顔をしていましたけど・・・・」

やはり自分ではわからないだけで結構な表情をしていたらしい。

「・・・・・何か、忘れている気がしたんです」

とても大切な何かを。
忘れてはいけない何かを。
今まで忘れていることすら忘れていたような何かを。

欠片すら思い出せないのだけれど、それでも、ぽっかりと胸のところに大きな穴が開いてしまっているような喪失感だけは確かにあって。
思い出そうと頑張れば頑張るほど、もやに包まれて輪郭を消してしまうような不確かな何かが確かにあるのに。
私は何一つ思い出すことが出来ないでいた。

「どこかで、嗅いだ事がある気がするんです」
「・・・・そうでしょうね・・・・」
「師匠は、知っているんですね?」
「えぇ。でも私の口からは何も言わない約束なので」
「はい・・・・」

少しづつ、私の中で何かの記憶が淡くなっている。
前はもっと鮮明に忘れていることを覚えていたのに。
最近はそれすらも思い出せないことがある。
思い出せないことなら忘れてしまってもいい、とはどうしても割り切れない。
忘れてはいけないと、本能が叫んでいる。

「なんで・・・・・忘れているの・・・・・・?」

こんなにも思い出そうとしてるのに。
こんなにも焦がれているのに。

どこから香るのかもわからないそれだけが、今は私の不確かな記憶を繋いでいた。


1:20完成
『白い世界』の続編?ヒバリの記憶を消されたイーピンの話。
時間が経つにつれてヒバリの記憶が薄れて行くようです。
頑張って思い出して!
匂いというのは記憶を邂逅する上で割合重要度が高いって何かで読んだ気がしたんだ。
 

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