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~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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ページをめくる度に、胸が締め付けられる。
どうしようも無い孤独感が、僕を襲う。
やりきれない想いに、胸が張り裂けそうになる。

でも

これが僕の選んだ道だ。
選んだのが僕なのか、それとも『僕』なのかはわからないけれど。
それでも、こうすることが最善だと僕たちは考えた。
たとえ、あんたの手を離すことになっても。

本当は寂しい。
本当は哀しい。
あんたのことを世界の果てまでも追いかけて探し出してしまいたい。
きっと僕にはそれができる。
『僕』が残したこの日記から推測すれば、おおよそのバンパイアマウンテンの位置だってわかる。
僕たちが辿った道程も、ある程度追うことができる。

それが出来ないのは僕が臆病だからだ。


『起こってしまったことは変えられない』
『役者が変わるだけた』
日記にはそう記してあった。
もしかしたらあんた自身、僕が抜けたことでこの運命の環から外れているかもしれない。
でも万が一。
そうじゃなかったら?
あんたはこの運命から逃れられていなかったら?
僕ではない誰かを弟子にして。
僕ではない誰かと旅をして。
僕ではない誰かの為に、命を落としていたら?

・・・・・・・無理だ、耐えられない。

あんたは僕以外の誰かでもいいかもしれない。
僕のことなんて知りはしないんだもの。
でも、僕はあんたを知ってしまった。
あんた以外には誰も僕の隣に立てないんだ。
それなら僕はこのままでいい。
このまま孤独と戦ってやる。
『僕』が残した運命を打破する武器を手に。
あんたの知らないところで、あんたを、あんたたちを、救ってみせる。

この武器に、一つだけメッセージを残しておくよ。
あんたが字を読めないことは知っているけど、僕の武器はこれしかないから。
どうか、誰か。
このメッセージを読んだバンパイアがいたら彼に伝えてください。

 “Dedicate to my father, Mr.crepsley”

返事は要らない。
ただ、僕という存在がこの世界にいることを、どうか知っていてください。



二人と一人
(あんたの隣には誰かがいて、僕の隣には誰もいない)

12巻終了後ダレンが日記を手に入れてからのお話。
ちなみに僕は12巻終了後の人間ダレン自身を
『僕』は日記の中における、半パンパイアダレンを指します。
面倒くさくてすまん。
2010/07/25

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思いっきりぶん殴られた。
なんて女だ!
子供相手に手加減もせずに横っ面を張り倒すやつがあるか!?
まぁ、確かに僕も本気でぶん殴りにいったからおあいこといわれればそれまでなんだけど・・・・・。
でもやっぱり納得いかない!
大人の対応ってやつがあるだろう?普通!
ここはなんか、こう、僕に華を持たせるべきところだ!
僕に出し抜かれたあたりで諦めて素直に握手しとけってんだ!

落下するホンの数秒の間に僕は、主人公としてあるまじき扱いに対して胸中で暴言を吐き続けた。


幸いにもわずかな時間気を失うのみで済んだようだ。
ずきずきと痛む頭を堪えながら、僕は彼女に握手を求めた。

・・・・らしい。


というのも、実のところほとんど彼女に対する執念だけで起き上がっていたので、意識なんてあってないようなものだった。
なのでどんなやり取りがあったかなんてほとんど覚えていない。
周囲の者の声から、僕が彼女と握手をした事実があることは確認した。
ただ僕自身にはやっぱり実感が無い。

「何を辛気臭い顔をしておるのだ?」
「なんでもない」

愚鈍なあんたに僕の繊細な気持ちがわかってたまるか。

「折角の総会だというのに」
「んなこと言われたって・・・・・皆で酒飲みながら笑いながら殴りあう危ない集団だろ?」
「まぁ・・・・・・否定はせんがな」
「事実だし」

手に持ったエールビールを一口啜った。
僕にはこの美味しさというものが良くわからない。

「あんたは娯楽の間に行かなくていいの?」
「いや、今まで居ったのだがきりが無くて一度戻ってきたのだ」
「ふーん」
「だが多分すぐに戻ることになるだろう。声を掛けられたら断らない、それがルールだからな」
「ふーん・・・・・・じゃぁさ」

残っていた中身をグイと一気に煽る。
しこたま飲んだ後だったので頭が一瞬ぐらりとした。

「僕と、勝負しようよ」
「は?」
「誘いを受けたら断らない。だろ?」
「・・・・いや、そうだが・・・・・・」
「なら娯楽の間にゴーゴーゴー!!」
「おっ、おいっ!!」

OKの返事も聞かずにクレプスリーの手を引いた。
酔ってグワングワンする頭に気がつかない振りをして走り出す。
クレドン・ラートの間を出るところでエラの姿が目に入った。
ついでだから、エラも引っ張っていこう!

「エラも娯楽の間に行くよ!」
「え?ちょ、なんなのよ!?」
「僕と勝負するの!」
「なんで私があんたと」
「逃げるの?」
「・・・っ、ふざけるんじゃないわよ!あんたみたいなガキ、一ひねりしてやるわ!」

売り言葉に買い言葉。
すっかり戦闘モードに入ったエラを見てクレプスリーがこっそり溜め息がつくのが見えた。
何をやっているんだか・・・・といった様子だ。
そんな様子など見てみぬ振りをして僕は二人の手を引いて走り出す。
右手にはクレプスリー。
左手にはエラ。
そういえば昔にもこんな風にしたことがあるな、なんて思いながら。
あ、そういえば今この状況ってエラと手を繋いでいるな、なんて思いながら。

よくよく考えれば、僕がしたかったのは戦闘でも握手でもなくて。
こうやって手を繋ぎたかっただけなのかもしれない。

まるでママのぬくもりに触れたみたいな気持ちになった。
思わずほくそ笑んだ僕を見て、クレプスリーとエラは顔を見合わせて、苦笑した。


エラと
(こんな感覚、以前にも確かにあった)


三人がそろえばそれはマジ親子だよね。
もう三人で家庭を築いてしまえ!
2010/07/23

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初めてそこに納まった時、僕はそれの蓋の裏しか見ていない。
当たり前だ。
僕は『死んでいた』のだから。

正確には本当に死んでいたわけではない。
死んだ振りをして、薬を使って心臓の鼓動を出来うる限り抑えていただけだ。
もっとも、振りをしているだけとはいえ『死んでいる』のだから目なんて開けてはいられない。そんな状態だったら大問題だ。
埋葬が終わって地中深くに埋められてからまるで永遠とも思えるくらい長い時間、しかし実際にはわずか数時間の間、僕はそれを眺めていた。
身体は上手く動かないし、中にはいろんなものが納めてあったから迂闊に動けなかったのだ。
どうやっても視線はそこにしか向けられない。
だから僕はそれをぼんやりと眺めた。
何で僕はこんなところにいるんだろうって思いながら。
真っ暗で、目を開けているのか開けていないのかもわからない。
明かりもなくてどんな装丁なのかもわからなかったけれど、僕は眼前のそれにどうやっても好意的な感情を向けることが出来なかった。
この入れ物は多くの人に涙を流させる。
多分、それが好意を向けられない一番の理由だ。

だからだろうか、僕にはあんたがそれを好む理由が理解できなかった。
どうしてこんなところに納まりたがるのだろうか?
狭くて寝返りもろくにうてないような空間。
第一、これはそもそもそんな使い方をするものではないのだ。
生きているものが入る場所じゃない。


シルク・ド・フリークに戻ってから、久方ぶりに彼の愛用していたそれを見た。
使うものがいなくなって久しいというのに、丁寧に保管されていた。
今となってはそこに納まる人物はもう居ないのに、そいつは辛抱強く主の帰りを待っていた。

「もうお前の役目はないよ」

埃一つ積もっていない蓋を撫でる。

「あの人は、もう帰ってこないんだから」

蓋の縁に手掛ける。
少しだけ力を加えてやると、キィ・・・・っと哀しげに鳴いた。

「泣くなよ」

もう少しだけ力を加える。
ギィ・・・・と、やっぱり帰らぬ主を想って、鳴いた。
そいつが腹の中に抱える特有の陰湿な空気が僕の肺に入る。
そう、この空気。
何かがなかにあるわけではない。
それ何にどうしてかココには特殊な空気が漂う。
僕はこれがあるからお前が嫌いなんだよ。
どうやったって人を感傷的にさせる。
思い出したくないことも思い出させる。

「やっぱり、お前は嫌いだよ」

内部に張られた布地に手を這わせる。
あるわけもない、あの人の温もりを求めるかのように。
返ってくるのは、長らく人を受け入れていない冷たい感触。
心を凍えさせるような、寂しい感触。
わかっていた。
あるわけがないと、初めからわかっていた。
わかっていたのに、僕はその中に身体を納める。

やっぱり、そこは凍えるように寒い。
あの人がそうしていたように身体を納めても、やはり僕は主にはなれないようでどうにも納まりがつかない。

「・・・・・・・嫌いだ・・・・・・」

お前は人に涙ばかり流させるから。
あの日は僕の家族・友達に。
そして、今は僕自身に。

冷たい雫が、ぽたりぽたりと落ちては吸い込まれていった。



(きっと、一生好きになれない)

10巻でダレンが泣ける様になって以降のお話。
沢山泣いたと表記されていたので、きっとこいつの傍でも泣いたと思うんだ。
2010/07/21 
 

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一人夜道を歩く。
生き物が寝静まった夜半だ。
僕のような、パッと見お子様にしか見えない人間は出歩く時間じゃない。

そう、人間なら―――


自業自得ともいえる経緯の果て、僕はバンパイアの血を流し込まれている。
まだ完全なバンパイアではない。
半分人間で、半分だけがバンパイアだ。
見た目はこれまでとほとんど変わらない。
でもそこらの大人より力はある。
それに過信しているわけではないが、こんな時間に一人で歩いても怖いとは微塵も思わない。
襲われても自分で撃退するだけの力が僕にはある。

だから僕は一人でも平気だった。
むしろ一人になりたかった。


ミスタートールに言われて、僕は街にチラシ配りに出ていた。
もちろん明後日執り行われるシルク・ド・フリークの宣伝チラシだ。
普段僕は半バンパイアの力を買われて、ショーの大道具準備を手伝うことがほとんどだった。
たまに思い出したようにチラシ配りを命じられることもあった。
始めこそ困惑したが、店の明かりの落ち始めた裏路地を覗いてみればその理由は明白だった。
そういう街は、若者のたむろしている率が高いのだ。
僕よりも少し年上くらいの、いわゆる不良と評されるものたちがそこかしこにいる。
そういう粋がった奴らに、僕のようなチビが『あんたたちには無理かもね』なんてけしかけてやれば、ハイ!ご一行様ご案内ってなわけ。
まったくもってトールは人選が上手い。

さて、だからといって四六時中声を掛けているわけではない。
僕らのフリークショーは違法行為とされているので、あんまりおおぴらには出来ない。
だからそこそこ声を掛ける相手を見抜かないといけない。
べらべらと口が軽そうなやつはダメ。
警察も不良の言い分なんてそう簡単には聞き入れないだろうけど、目をつけられる可能性は十分にある。
出来るならばそのようなリスクは回避したいところだ。
どちらかといえば思慮深そうな、それでいて安寧とした生活に辟易していそうな、そんな奴らを探さなくてはならない。
建物の上に登ったり、物陰から様子を窺ったり。
そういうことをしている時間のほうがはるかに長い。

なのでこのチラシ配りは、一人の時間を堪能できる貴重な時間なのだ。
シルク・ド・フリークには沢山の人がいるからなかなかそんな時間は取れない。
特に僕は同世代の蛇少年・エブラと同じテントを共有しているからなおさら。
別に誰かと一緒にいることが嫌ではない。むしろ楽しいと思う。
だけれども時々、故郷に置いてきた家族の事を思い出して無性に泣きたくなったりする。
そういう時、トールは見計らったように一人になれる仕事をくれる。
仕事は勿論きちんとこなすけれど、多少手を抜いてもばれないような仕事を。
トールには感謝しても仕切れないや。

この場にいない人に対して胸中で謝辞を述べると、僕はごしごしと目元を拭った。
時計を確認すると長針がぐるり一回りしていた。
どうやら思った以上の時間ここで泣いていたらしい。
さて、そろそろ何組かのグループに声を掛けて戻るとしよう。
今まで腰を下ろしていたビルの屋上の縁から立ち上がる。
うん!と背伸びをすると気分がスッと晴れていることを自覚できた。
よし。これで大丈夫。また明日から元気に仕事が出来るぞ!

「だから心配しないでね?」

誰にともなく、僕は言う。
振り返りもせずに、虚空に向けて言葉を放つ。
返事を返すものはいない。
少しの間の沈黙。
やや間があって―――

「・・・・・偶然だな、ダレン。ちょうど我輩も血を飲みにきていたところで・・・・」

尻切れトンボにごにょごにょと口を開きながら、赤い影が背後の物陰から姿を現した。
鼻の頭をぽりぽりと掻いて、視線はあちらこちらに落ち着かない。
明らかに不自然なタイミングで現れた男を見て、僕は苦笑するしかなかった。

あんたは確かに僕の人生を大きく変えた犯人。
恨み言を言って、ぶん殴ってやりたい。
でも・・・・・・・

(どうやっても、あんたを突き放すことが出来ないんだろうな)

そう、何の根拠もなく思ったんだ。


どうして
(あんたの優しさはそんなにも不器用なんだろう)



ダレンがクレプスリーをきちんと師と認める前のお話。
クレプスリーは心配性なくせに面と向かって優しくすることが至極苦手なイメージ。
下手な嘘をつきながら、不器用に少しずつ寄り添っていく過程が好き。
2010/07/20

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「すみません。チェック・インお願いします」
「・・・・・・・・・・・・はい、かしこまりました・・・」

声を掛けると怪訝な表情をされた。
明らかに不自然な間の後、通常仕様の対応をされる。
フロントで直接対応するスタッフは勤めて平静を保っているが、バックに控えている人たちはあからさまに僕たちを見て噂をしている。

あちらは聞こえないと思っているのだろうが、残念ながらこちらは半バンパイア。
ひそひそ声でも僕の耳が音を捉えるには十分すぎた。
だが、あえて僕はその声を聞かないことにする。
何を言われているのかは検討がついているからだ。

ホテルスタッフの視線は、僕とその後ろで押し黙っているクレプスリーとを行き来する。
僕を見てはクレプスリーを見、クレプスリーを見ては僕を見る。
そうしてこう言っているのだ。

 『あの二人全然似てないわ。親子だなんて偽装じゃないの?もしかしたら誘拐事件とかかもしれないわ』

―――と。
多少のニュアンスの違いはあれど、おおむねそんなところだろう。
これまでもそんな目で見られることは良くあった。
なんだったら警察に通報されたことすらある。
その度に七面倒くさい嘘っぱちの事情を説明してはなんとか逃げてきた。

まぁ、人々が僕らを見て疑うのも仕方ない。
髪の色も、目の色も、体格もてんで違う。
似通った外見的特長なんてほとんど無いに等しい。
それに加えて一般人がどこをどう通ってきたらそこまで薄汚れるのか・・・・・というくらい僕らの服装はくたびれていて。
手やら顔やらに無数の傷をこさえているのだ。
普通ならば何かあると感じるだろう。
これだけの判断材料があるのだからむしろ疑うなという方が難しい。
昨今の少年少女を狙った犯罪事件を受けて過敏になっていれば、余計に疑わしく見えることだろう。

気にしたらいけない。
視線を真に受けてはいけない。
気にしだしてそちらに視線でも向けようものなら、彼らは『やっぱりそうなんだ!』と余計な勘繰りを入れるに決まっている。
言われ慣れています、といった態度で。
だからなんだ、といった様子で。
軽く受け流してやればいい。

さらさらと必要事項を書類に記載していき、最後に名前を署名してフロントに差し戻す。

「あの、向こうが目が悪くて光に弱いんです。出来ればあまり日当たりの無い部屋をお願いしたいんですけど・・・・・・」

肩越しにクイっと親指を向ける。
フロントスタッフがその指の指し示す方に視線をやり、つまり僕の背後を見る。
そこには室内だというのにきっちりとサングラスを掛けたクレプスリーがいる。
「あぁ、わかりました」と告げると、フロント内で何かを探し出し、別の紙にさらさらと何かを書いた。

「それでしたらこちらの部屋などはいかがでしょうか?」

差し出したのは館内の見取り図。
それと、一枚のメモ。

「西向きの部屋になりますので、早めにカーテンを引いていただければ日光はそう入らないかと」

などと至極普通の説明をする一方で、クレプスリーの視界に入らないよう上手い具合に隠しながらメモを見るように促してきた。

 『大丈夫。私たちは貴方の味方です。誘拐等の類であるならこの紙に触れてください。対処します』

おぉ、なんと言うプロ意識!
僕の安全を考慮してこのような方法を取るなんて、まったくもって表彰ものだ。
だがしかし、心使いは嬉しい限りだが別にクレプスリーは誘拐犯ではないのできちんと訂正をしなくてはならない。
また警察なんかを呼ばれたらたまったもんじゃないからね。

「お気遣いありがとうございます。でも心配いりません」

努めてにこやかに、告げる。
逆にフロントスタッフは首を傾げる。

「・・・・・・と、いいますと?」
「僕たち、見た目は全然似ていませんけど、これでも血は繋がっているんです」

きっちり伝えると、スタッフは一度驚いた顔をしてから「失礼いたしました」といって、そのまま何事も無く部屋へと案内してくれた。


□■□


「フロントで何を話したんだ?」

部屋に入るなりクレプスリーが問う。
疲れ切っていた僕はベッドに突っ伏しながら端的に要点のみに絞って答える。

「あんたが誘拐犯に間違われたんだよ」
「なんだと!?我輩が誘拐犯だと!?」
「ちゃんと訂正しといたから大丈夫。向こうもわかってくれたし」
「しかしなんと説明したんだ?」
「ん?僕たち『血は繋がっています』って言っただけだよ」

そう、嘘はついていない。嘘は。
血は繋がっている。
それは否定しようの無い事実だ。

「それで似てない親子って勝手に勘違いしてくれたみたい」

僕は『親子』だなんて一言も言っていない。
ただ、クレプスリーの血が僕の中に流れているという事実を伝えただけだ。

もっとも、普通は『バンパイアと血の契約をしたから』なんて理由、思いつくはずも無いけどね。


ホーストン親子
(僕の中にはあんたの血が、あんたの中には僕の血が)



嘘は言っていないけど、正確に物事を伝えようともしていない。
勝手な思い込みで勝手に納得してしまう人間をバンパイアは影から笑って見ているのかもしれない。
2010/07/17
 

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