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~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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「家族なんてさ、正直俺にはよくわからなかったよ」

「だって、アイツラは俺のことを商品としてしか見ていなかったし」

「俺にとっての家族って、結局のところそんなものだったんだ」

「だから昔お前が言ってたみたいな家族愛とか親の愛情ってなんなのか、本当はわからなかった」

「なんとなくわかったフリしてたけど、実際はすごくあやふやでお前が固執する理由なんてわからなかった」

「でもさ・・・・・・本当は俺は知ってたんだ。ずっとずっと気がつけなかったけど」

「・・・・・きっとトールがくれていたものって、ソレなんだと思うんだ」

「今なら、こいつが生まれた今ならなんとなくわかるよ」

「マーラと出逢って、シャンカスが生まれて、父親になって初めて気づいた」

「俺はトールに愛されていたんだって」

「別に疑っていたわけじゃない。ただ、愛されるってことがどういうことかがわからなかったんだ」

「マーラのことも愛しているけど、シャンカスに対するものってやっぱりどこか少し違う」

「どんなに手が掛かっても、頭にくることがあっても、でも本気で憎むことなんて出来ない」

「そこにいてくれるだけで胸の奥がこう・・・・あったかくなるっていうか・・・・・」

「なんていうか・・・・すごく嬉しいんだ。良かった、って思う。馬鹿みたいに毎日が楽しい」

「初めは自分の頭がおかしくなったのかと思ったよ」

「だからトールに相談したんだ。俺は気が触れてしまったんじゃないかって」

「そうしたらさ、トールの奴嬉しそうに笑ってこう言ったんだ。

 『私も、そうだったよ』

って」

「子供を愛するってことを知った。自分が愛されていたことを知った。自分がどれだけ果報者か思い知ったよ」

「・・・・・っと、話が反れたな。お前のことだった」

それまで楽しそうに口を開いていたことを詫びるように、申し訳なさ気に笑った。

「構わないよ。エブラのバカ親っぷりが聞けて楽しかったし」
「なんとでも言えよ。シャンカスは自慢の息子だからな」
「偉大なる『シャン』の名を継いでいるんだから当たり前だよ」

話を吹っかけた時、やたらと神妙な顔をしてしまったことを誤魔化すために敢えて軽口を叩く。
そうだ。
そんな深刻な話じゃないんだ。
ただ気になったから聞いてみただけなのに。
僕が聞いたことなんてこのまま忘れてしまってくれて構わないんだ。

「ま、・・・・冗談はさておき、だな」

急に真面目な顔に戻ったエブラ。
どうやらなかったことにはしてくれないらしい。

「ラーテンに直接聞くのが一番早いと思うよ。そういうことは」
「別に、クレプスリーのことだなんて一言も言ってないだろ?」
「でも、そうなんだろ?」
「・・・・・・・・・」
「きっとお前が思っている通りの答えを返してくれると思う」
「・・・・そうかな・・・・・?」
「保証はしないけど。でも・・・・・家族ってのがどういうものかは、お前のほうがよっぽどよくわかってるはずだろ?」
「・・・・・・・・・」
「考えすぎないことだよ。ダレン」
「そう・・・かもな・・・・」


そう返したものの、ぐるぐると勝手に思考が巡っていく。
深く考える必要なんてない。
さらりと本人に聞いてしまえ。
何度も自身に吹っかけてみるけれどどうにも踏ん切りがつかない。
なのに足は自然とクレプスリーのトレーラーに向かっていた。
叩きたくないのに戸をノックして。
返事を待って中に入る。

「どうかしたのか?」
「・・・・・あのさ・・・・・」
「ん?」

怪訝そうにクレプスリーがこちらを見やる。

「クレプスリーはさ・・・・・・」
「なんだ?」
「僕を手下にして・・・・・・」

たった一言が、出て来ない。
たった四文字が、出て来ない。
僕とは違う答えを返されることが怖いのだ。
尊敬に値する師と弟子。
それ以上を望むのは贅沢なのかもしれない。
僕たちの関係は親子のそれとは違うものだから。
だからきっと、それは僕の胸だけに留めておく方がいいんだ。
無用な思考はこの際どこかに捨ててしまおう。

「・・・・・・ううん・・・・・なんでもない」
「・・・一体なんだというのだ?」
「気にしないで」

無理して笑って見せた。
偽者の親子にはお似合いの笑みだった。


しあわせ?
(問えないのは、僕が臆病だから)


7巻でシルク・ド・フリークに合流した位の頃。
よくよく考えたら赤師弟って『尊敬してる』とか『誇りに思う』とかは言ってっても
『幸せだよ』って言ったこと無いんじゃないのか?
多分この台詞って二人にとって禁句だったんじゃないかなぁ・・・・・
クレプスリーからしたら自分は紛れも無くダレンの幸せを奪った張本人で
ダレンからしたらそれを認めることでプライドが傷つくってのと、
クレプスリーが気にしていることを知っているから問えない。
そういう不器用さがこの四文字を言えなくさせていた、という妄想文でした。
2010/08/19

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