~*リハビリ訓練道場*~ 小ネタ投下したり、サイトにUPするまでの一時保管所だったり。
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クレドン・ラートの間に顔を覗かせるとなにやら部屋の片隅に数人が身を寄せていた。
女バンパイアはとても数が好きないから、必然的になんとも暑苦しいことこの上ない構図となる。
出来ることならお近づきになりたくないというのが善良なる心情だ。
臭い・暑い・むさいの三拍子そろった空間に好んで近づこうなどとするものの気が知れない。
彼らは寄ってたかってテーブルの上に広げた何かを見ているらしく、僕が入ってきたことには気がついていないようだ。
これ幸い、と当然のように僕はその空間から対角になる一番遠い席に陣取った。
パンやらスープやらが運ばれてくる前にテーブルに備え付けられた血の樽を傾け喉を潤す。
―――僕は未だにこの飲み方に慣れていない。
「・・・っ!げほっ!!・・・っけほ、けほ・・・」
思いっきりむせてしまった。
残念なことに、この時間のクレドン・ラートの間は人が少なかった。
つまり広間中に僕が咳き込んだ音が響くわけで。
必然的に彼らが僕の存在に気がつくわけで。
その中に数少ない顔の見知ったバンパイアがいれば向こうは声を掛けてくるわけで。
「ようダレン!なんでそんな離れたところに座ってるんだ?こっちに来いよ」
なんて言葉の割に、皆を引き連れてぞろぞろとこちらへやってくる。
「いやぁ・・・・・・なんか盛り上がっているみたいだっだから・・・・邪魔しちゃ悪いかなぁ、って思って」
「水臭いこと言うなよ。俺とお前の仲だろ?ん?」
「あぁ・・・・うん・・・・そうだね・・・・・」
ばしばしと加減の無い力で背中を叩かれた。
おいおい、僕は半バンパイアなんだぞ?そんな風に叩かれたら溜まったものじゃないって気づいてくれよ!
最低限の思いやりで胸中で訴えるに留める。
半分くらいは僕のなけなしのプライドのためだということは伏せて置く。
なんてことを考えているうちに逃げ出すタイミングを見失い、あっという間に僕の座っている席は取り囲まれた。
結局、今現在僕はむさくるしさの真っ只中にいる。
「で?何なの?」
むさくるしいことはこの際諦めて、僕は真っ先に声を掛けてきたバンパイア・ガブナーに尋ねた。
ニヤニヤしながら差し出したのは一冊の本。
「青少年たるもの多少の嗜みは必要だからな!」
「たしなみ?」
「そうだとも!であるからして我らは先輩としてこの本を君に進呈しようではないか!」
はて?何のことやらさっぱりわからない。
とりあえず差し出された本を受け取ってみる。
年季が入っているのか、それとも扱いが乱雑なせいかはわからないが、表紙は黒ずんでいて何が書いてあるのかさっぱりわからない。
ガブナーの方を見やっても、ニヤニヤするばかりでソレが何かを教えてくれる気配は無い。
その他僕を取り囲んでいる名前も知らないバンパイアも同様だった。
仕方が無いから僕はその本の表紙を一枚摘んでめくり上げた。
恐る恐る中身を確認しようと目を落とそうとしたその時。
「・・・・・・何をしておる」
遠巻きに聞きなれた声が上がった。
顔なんて見なくても誰だかわかる。
クレプスリーだ。
ガブナーを含めた数人のバンパイアたちはばつが悪そうに「あー・・・・」とか「うー・・・・」とか煮え切らない返事を返す。
たったそれだけのことで状況を悟ったのか、クレプスリーがずかずかと歩み寄り、僕の手元を一瞥。
「・・・・・たわけた物を・・・・」
吐き捨てるように言うとあっという間に僕の手からその本を取り上げ、少し迷った後、びりびりと破り捨ててしまった。
「ラーテン!何てことするんだっ!?折角・・・」
「折角?折角、なんだ?」
「あ・・・いや・・・・・」
「どういうつもりか知らんが、ダレンにはまだ早い!今後見せようとするなよ、ガブナー」
本気で殺気立ったクレプスリーに気圧されて、ガブナーは口を噤み、そして他のバンパイアを引き連れてのろのろとクレドン・ラートの間を出て行ってしまった。
何も言うことができないままその光景をただただ見送る。
しばらく時間が経ってから、内容がまったく判別できないレベルにまで千切られた本の残骸に目をくべて、ポツリ。
「・・・・・なんだったの・・・・?」
「お前はまだ知らなくていい」
「ガブナーは『青少年のたしなみ』とかって言ってたけど・・・・・」
「・・・・・・お前には、まだ必要の無いものだ」
「じゃぁいつになったら必要になるの?」
「それは・・・・・・・う・・・む・・・・・」
クレプスリーが閉口して考える。
あちらこちらに視線を泳がせ、「あー・・・・」とか「うー・・・・」とか言葉を捜す。
やがて、一言、答えを返す。
「・・・・・・・・・お前が、大人になったらだ」
その回答に、なんとなく、僕は本の中身を悟ってしまった。
不健全
(でも・・・・・こんななりでも僕、20歳なんだけどな)
女バンパイアはとても数が好きないから、必然的になんとも暑苦しいことこの上ない構図となる。
出来ることならお近づきになりたくないというのが善良なる心情だ。
臭い・暑い・むさいの三拍子そろった空間に好んで近づこうなどとするものの気が知れない。
彼らは寄ってたかってテーブルの上に広げた何かを見ているらしく、僕が入ってきたことには気がついていないようだ。
これ幸い、と当然のように僕はその空間から対角になる一番遠い席に陣取った。
パンやらスープやらが運ばれてくる前にテーブルに備え付けられた血の樽を傾け喉を潤す。
―――僕は未だにこの飲み方に慣れていない。
「・・・っ!げほっ!!・・・っけほ、けほ・・・」
思いっきりむせてしまった。
残念なことに、この時間のクレドン・ラートの間は人が少なかった。
つまり広間中に僕が咳き込んだ音が響くわけで。
必然的に彼らが僕の存在に気がつくわけで。
その中に数少ない顔の見知ったバンパイアがいれば向こうは声を掛けてくるわけで。
「ようダレン!なんでそんな離れたところに座ってるんだ?こっちに来いよ」
なんて言葉の割に、皆を引き連れてぞろぞろとこちらへやってくる。
「いやぁ・・・・・・なんか盛り上がっているみたいだっだから・・・・邪魔しちゃ悪いかなぁ、って思って」
「水臭いこと言うなよ。俺とお前の仲だろ?ん?」
「あぁ・・・・うん・・・・そうだね・・・・・」
ばしばしと加減の無い力で背中を叩かれた。
おいおい、僕は半バンパイアなんだぞ?そんな風に叩かれたら溜まったものじゃないって気づいてくれよ!
最低限の思いやりで胸中で訴えるに留める。
半分くらいは僕のなけなしのプライドのためだということは伏せて置く。
なんてことを考えているうちに逃げ出すタイミングを見失い、あっという間に僕の座っている席は取り囲まれた。
結局、今現在僕はむさくるしさの真っ只中にいる。
「で?何なの?」
むさくるしいことはこの際諦めて、僕は真っ先に声を掛けてきたバンパイア・ガブナーに尋ねた。
ニヤニヤしながら差し出したのは一冊の本。
「青少年たるもの多少の嗜みは必要だからな!」
「たしなみ?」
「そうだとも!であるからして我らは先輩としてこの本を君に進呈しようではないか!」
はて?何のことやらさっぱりわからない。
とりあえず差し出された本を受け取ってみる。
年季が入っているのか、それとも扱いが乱雑なせいかはわからないが、表紙は黒ずんでいて何が書いてあるのかさっぱりわからない。
ガブナーの方を見やっても、ニヤニヤするばかりでソレが何かを教えてくれる気配は無い。
その他僕を取り囲んでいる名前も知らないバンパイアも同様だった。
仕方が無いから僕はその本の表紙を一枚摘んでめくり上げた。
恐る恐る中身を確認しようと目を落とそうとしたその時。
「・・・・・・何をしておる」
遠巻きに聞きなれた声が上がった。
顔なんて見なくても誰だかわかる。
クレプスリーだ。
ガブナーを含めた数人のバンパイアたちはばつが悪そうに「あー・・・・」とか「うー・・・・」とか煮え切らない返事を返す。
たったそれだけのことで状況を悟ったのか、クレプスリーがずかずかと歩み寄り、僕の手元を一瞥。
「・・・・・たわけた物を・・・・」
吐き捨てるように言うとあっという間に僕の手からその本を取り上げ、少し迷った後、びりびりと破り捨ててしまった。
「ラーテン!何てことするんだっ!?折角・・・」
「折角?折角、なんだ?」
「あ・・・いや・・・・・」
「どういうつもりか知らんが、ダレンにはまだ早い!今後見せようとするなよ、ガブナー」
本気で殺気立ったクレプスリーに気圧されて、ガブナーは口を噤み、そして他のバンパイアを引き連れてのろのろとクレドン・ラートの間を出て行ってしまった。
何も言うことができないままその光景をただただ見送る。
しばらく時間が経ってから、内容がまったく判別できないレベルにまで千切られた本の残骸に目をくべて、ポツリ。
「・・・・・なんだったの・・・・?」
「お前はまだ知らなくていい」
「ガブナーは『青少年のたしなみ』とかって言ってたけど・・・・・」
「・・・・・・お前には、まだ必要の無いものだ」
「じゃぁいつになったら必要になるの?」
「それは・・・・・・・う・・・む・・・・・」
クレプスリーが閉口して考える。
あちらこちらに視線を泳がせ、「あー・・・・」とか「うー・・・・」とか言葉を捜す。
やがて、一言、答えを返す。
「・・・・・・・・・お前が、大人になったらだ」
その回答に、なんとなく、僕は本の中身を悟ってしまった。
不健全
(でも・・・・・こんななりでも僕、20歳なんだけどな)
ある意味映画ネタ?(になるのだろうか)
クレプスリーは「ネットで~」とか言ってたけど、
流石にマウンテンにネットは通じてないでしょうから(そもそも電気が通っていないだろう)
必然的に本に頼ることになるんじゃないかな?
きっと誰かが持ってきたやつを皆で使いまわしているんだよ。
まったくもって凄くどうでもいいネタでした。
2010/07/16
クレプスリーは「ネットで~」とか言ってたけど、
流石にマウンテンにネットは通じてないでしょうから(そもそも電気が通っていないだろう)
必然的に本に頼ることになるんじゃないかな?
きっと誰かが持ってきたやつを皆で使いまわしているんだよ。
まったくもって凄くどうでもいいネタでした。
2010/07/16
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